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今よみがえる横浜市電の時代・横浜駅東口と神奈川区(カラー版32頁/定価1000円)
【内容】
かつて68年間に渡り、横浜市内を縦横無尽に走り回っていた「横浜市電」は、昭和47年(1972)3月31日限りで廃止となり、それからすでに半世紀近くの時が過ぎようとしている。
昭和38年(1963)から市電が全廃されるまで市内をくまなく歩き回り、最後まで市電と街の姿をカメラに収め続けた故・天野洋一氏。その同じ撮影ポイントへ武相鉄研OB会が出かけて行き、横浜の街の変貌ぶりを撮影。
新旧比較写真集の本書で、かつての懐かしい市電が走る情景をお楽しみ頂けると共に、現在の街の姿はカラーで比較したため、その激変ぶりにも驚かれることであろう。
当時の人々の暮らしさえも垣間見えて くる「天野作品」のカメラ・アングルの素晴らしさは、従来の「型にはまった鉄道写真」とは大きく異なるものであることも実感できる。
市電が走っていた市内中心部を「各区」ごとに分冊・編集してあり、分かりやすく見やすいのが大きな特徴でもある。
当時の市電写真と、同地点での「現在の写真」を各頁上下2段で組んであり、その時の流れを手軽に楽しめるようになっている。
さらに各区ごとの地図によって、各撮影地点も明示してあるため、読者自身がその場所に立ち当時を夢想し、その変貌ぶりを実感する手助けにもなるであろう。
それが、本書の第2の楽しみ方ともいえる。
巻末には、市電全路線・全電停マップも収録されている。
横浜駅東口から国道1号線上を東京方面へと走り、運河を渡った先の神奈川区内には、青木橋から六角橋方面と、鶴見区にあった生麦車庫へと分岐する路線が伸びていた。市電は昭和41(1966)年、生麦への路線(2・3系統)から廃止が始まったが、この路線は旧東海道上を走り、途中単線で中央市場へ分岐する路線(7系統)や、東神奈川で国鉄の貨物線(現在廃止)と平面クロスしたりと変化に富んでいた。終点・生麦車庫の手前では国鉄(現JR)・高島貨物線の下を潜り、生麦事件碑を横目に車庫への出入りが行なわれていた。現在では、かつての市電通りの上を首都高速が覆い被さるように走り、その景色は激変している。
一方、青木橋から六角橋までの路線は、国道1号線上を東海道本線に沿って走る1系統で、東神奈川駅前まで並んで走り、ここから左折し新横浜方面へ。東白楽駅前で東横線を潜れば、すぐに終点・六角橋であった。広い六角橋交差点の中央で、市電は発着を繰り返す毎日であった。この路線は、青木橋から横浜西口、鶴屋町方面へ向かう路線(9系統)と共に、昭和43年(1968)には廃止されてしまった。
*本書は2000年9月発行の「懐かしの横浜市電」を、区ごとに分冊化したものです。
*比較写真の「現在のカラー写真」は、2000年当時に撮影されたものであることを、予めご了承願います。