絶版希少本 ウォーレン回想録
アール・ウォーレン 著
彩流社
1986年初版
620ページ
約22x16x3.8cm
函入 布張り上製本
当時の定価 7,000円
※絶版
社会の進歩を信じた巨人の足跡!連邦最高裁史上、三大長官の一人と評され、50年代半ばから激動の60年代に進歩的な諸判決を下したウォーレンは、しばしば痛烈な世論の攻撃の的であった。だが、在任中は一切の反論と弁明を控えたウォーレンが、真情を語り、批判への回答と合せて、自らの人生を率直に記録したもの。
自叙伝である本書によって、初めて内面的な見方ができるようになる。自分自身と、世間の人々と、公務員として50年あまり精力的に勤務した間に身辺で渦巻いた事件をどんなふうに考えていたか、それを物語っているのがほかならぬこの本なのである。
巻末にはアール・ウォーレン年譜/ウォーレン法廷の裁判官の略歴を付す。
今となっては大変貴重な歴史資料本です。
【目次】
ウォーレン回想録の邦訳出版によせて 今津晃
はじめに
第一章 ブラウン判決と″ウォーレン法廷″ 衝撃的な裁判
「法のもと、正義は平等」/多くの批判者たち/判決を支える貴重な経験
第二章 カリフォルニアの田舎町で 初期の教訓 少年時代
二つの悲しい記憶と両親のこと/初等中学校時代/高校時代
第三章 さまざまな教訓 大学・陸軍志願兵・弁護士
バークレーの日々/駆けだし弁護士で学んだこと/厳しい試練のなかで
第四章 大きな責任 地方検事補時代
州議会の裏方で知ったこと/刑事・民事のなんでも屋から監理委員会顧問へ/新しい人生、結婚と地方検事に
第五章 ″腐敗″との対決と活動基盤の拡大 地方検事時代
能率のよい検察庁の運営を目指す/保釈保証金制度・″いかさま"賭博・企業詐欺との闘い/ベシー・ファーガソン事件/ベッカー保安官との闘い/大オークランド建設会社の汚職一掃/(リー・レッサー事件/ベッカーー保安官の失墜と保安官室の秩序回復/地方検察庁の献身的な職員と警察官教育/一九三六年の大統領選挙/ポイントロポス号での殺人事件と全国犯罪会識/司法部長を目指して/司法部長選挙と父の不慮の死
第六章 組織犯罪との闘い カリフォルニア州司法部長時代
″法律は守らなければならぬ″/公然たる賭博事業との闘い/″勝つ裁判もあれば負ける裁判もある″/日系アメリカ人の強制立ち退き/軍隊と協力、売春宿の追放
/インディアンの権利に関する民事訴訟/州知事選挙への出馬/圧倒的な勝利
第七章 克服すべき諸問題 州知事時代
あれた知事公舎と知事室/なにごとも公正、公平に/公衆衛生と精神障害者対策/保健問題から健康・失業保険制度の確立へ/刑務所制度の全面的改革/州民とともに歩む政治/有能で献身的な職員たち/カリフォルニア大学の拡充発展と″忠誠宣誓″騒動/人口増に対する学校・住宅建設/経済発展と環境保護政策/「私の政権は進歩的だった」/金のかかる選挙が招くものは
第八章 熟慮 全国政治と北欧旅行-州知事から連邦最高裁判所長官へ
一九四四年の共和党全国大会/共和党副大統領候補として/大統領選挙戦の敗北と州知事の三選/大統領予備選挙出馬と一九五二年の共和党全国大会/アイク大統領候補への協力/「政治には相互に尊敬が必要である」/一九五三年一月二〇日、アイゼンハワー政権の誕生と私
/英国女王の戴冠式に出席/北ヨーロッパ旅行/一九五三年九月、連邦最高裁判所長官に任命される
第九章 「平和と進歩」を目指して 最高裁時代
緊張の就任式/初めての判決と重要事件「学校隔離事件」/最高裁の一般的な合議のしかた/第一次、第二次ブラウン″判決とその反応/アイゼンハワー大統領との軋轢/″差別の歴史″と判決後の進歩/バス通学の誤解と激賞に値する裁判官たち/さまざまな投書と弾劾の掲示板の林立、/ベーカー対カー事件-公平な"一人一票"の代議制度/議会、央業界と対立/現状維持に″挑戦″する判決と孤高の精神
第十章 侮りがたい反対者 最高裁とその酷評家
足をひっぱるアメリカ法律家協会/法律家協会辞任の真相と協会の本来のありかた/「権力」に従うか、「憲法の目的」を求めるか/最高裁の管轄権と訴訟手続き/「盗聴問題」に関する司法省からの介入/秘密主義ではなく、公正のため孤高を保つ/いくつかの改善策と″土曜日の集まり″
第十一章 大統領の任命した委員会 ケネディ暗殺事件の調査
ケネディ大統領の死/「大統領暗殺調査委員会」の委員長に/厖大な報告書と証拠のなかで/「陰謀説の証拠はない」/単なる殺人事件の裁判ならば…/"ウォーレン報告″の批判者たちへ
結びの言葉
付 アール・ウォーレン年譜/ウォーレン法廷の裁判官の略歴
訳者あとがき