
医療人類学研究会 編著
「文化現象としての医療-「医と時代」を読み解くキーワード集」
メディカ出版 1992年 第1刷 2000円
B6判 ソフト カバー 帯 376ページ
内容:近代医療は科学の子、というのは実は誤った考えだ。本書の刊行に寄せた文で故中川米造が述べる「医療の世界では情報を開いたものにしないという不文律が長いあいだ支配的であった」という一言からもわかるように、それは一種の「神話」のようなものにすぎない。閉じた世界の言葉は私的な意味しか持ち得ないし、私的な意味をいくら集積しても、科学的な普遍性は生まれないからである。
医療の世界に「パターナリズム」という言葉がある。意地悪く言えば、難しいことは専門家(医師)にまかせておきなさい、という考え方のことだが、これも医療が科学であればこそ成り立つ考えであって、仮に医学が科学と一線を画す何ものかであるとするならば、医師の都合がひねり出した機会主義的な盲信にすぎないということになる。「インフォームドコンセント」もしかり。これを単なる情報伝達として済ますのだったら、問題だらけの医療に、何ら貢献しないに違いない。
医療は文化現象であるというのが、「医療人類学」の主張である。本書は医療に関連する100の言葉に、「医療人類学」の立場で再検討を加えた用語集。医学を科学と言いくるめた近代の「神話」に抗するために、執筆者たちが「閉じた世界」を開こうとして行った、社会的なコミュニケーションを促す提言集と言っていい。もとより学問的に確定された定義集は目指していない。「こころとからだ」を考える副読本としてすすめたい。(今野哲男)
現代医学の脱構築事典。100の言葉を穿ち、我々の現在を問う「知識医療学」への招待。医療と時代、文化・社会を読み解くための〈スーパー・グロッサリー〉。
1 先端医療の解剖学
2 疾病の地政学
3 医療の考古学
4 病院の生態学
5 ジェンダーとセックスの生理学
6 「精神医療」の病理学
7 くすりの社会学
状態は並上程度です。カバー背にヤケ(色あせ)があります。