・書籍名 : The Haworthia Drawings of John Thomas Bates
・著者名 : Gordon D. Rowley
・出版社:The Succulent Plant Trust
・発行年:1985年
・言語:英語
・形式 : 中綴じソフトカバー, 215×304mm, 58ページ
手元に余部があるので出品します。表紙や内部の外側に紙焼けがあります。(写真参照)
<書籍説明>
本書は第二次世界大戦前後にイギリスで伝説的なアマチュアガーデナーとして知られていたJohn Thomas Bates(ジョン・トーマス・ベイツ, 1884-1966)の描いたHaworthiaの植物画集となります。
日本では馴染みはありませんが、特にイギリスでの多肉植物研究史の中で、J. T. Batesの名前はちょくちょく見掛けます。同氏はバス会社に勤めていた実直な労働階級でしたが、アフリカ系多肉植物、特にメセン類の栽培では20世紀初頭の時代において、卓越した技術を持っていたそうです。
大気汚染と日照不足に悩まされていたロンドン近郊において、厳しい栽培によって遅いながらも卓越した系統保存をしていた事で、同氏は業界では有名となっていたようです。そこに当時の研究者達が飛び付き、様々な研究資材を提供していたと記録にあります。
また、多くの趣味家にも自身の持つ数万株のコレクションの一部を提供し、現在もナショナルコレクションとして、The Succulent Plant Trustという有志組織を中心に多くのガーデナーが協力して、このJ. T. Bates系統の維持をしているそうです。稀に多肉植物の中に'BATES'または'J.T.B'の名を冠された品種を見かけますが、これは同氏のコレクションから出てきた系統となります。
これ以外にも、多くの多肉植物研究者との関わりや、その偉大な貢献から、Conophytum batesii, Haworthia batesiana, Gasteria batesianaの3属3種に献名されています。
本書は、まだコピーの無い時代に図書館に通ってポストカードに書き写した植物画集となります。また、中には当時の図鑑には掲載されていなかった種も含まれており、原寸大で収録されています。
著者は伝説的なサボテン・多肉植物研究者、イギリスのGordon Douglas Rowley(1921〜2019)よって執筆され、同氏は王立キュー植物園や大学で活躍し、世界中でフィールドワークを行っていました。また、アフリカの多肉・塊根植物、南北アメリカでサボテン類の新種記載や分類を行いました。また、面白いことに同氏の著作物の多くは、栽培趣味家を強く意識しており、単純に分類学に留まらず、栽培テクニックが融合した独特のスタイルになっています。
本書はJ. T. Batesの人生を徹底的に調べ上げ、若き日に直接そのプライベートハウス(総ガラス張り、棚板までガラス)に訪れた時の感動を含めて、その功績と残されたコレクションの現在について、相変わらずのG.D.Rowley節で伝えてくれます。
本書は分類学や園芸技術に特した書籍ではありませんが、アマチュアガーデナーの達人の人生と功績、光と影、後世に与えた影響を伝えてくれる良書だと感じています。Haworthiaやメセン類好きではなくとも、一度は目を通しておいて損はない内容かと思います。