今回出てきた大変希少な布です。この布もまた、この先、一般に出回ることはないでしょう。パトラの中でも、特別な伝来・色合いの布です。
これは、インドの経緯絣 パトラで作られた帯です。大きさは、約226×11㎝、時代は、19世紀(1800年代)です。この帯は、ジャワ島中部ソロの王宮お抱えの踊り子の衣装の一部(8枚目画像左側)であったものです。当時、パトラを所有していることは権威の象徴で、貴重なパトラ裂を衣装にすることができたのは、特別な階級の人たちだけでした。中でも、このパトラは、地の色が黄色(金色)で非常にレアで私自身、初見です。文様も珍しいので、おそらく王の特別な注文によって作らせたものでしょう。同じような文様のパトラのズボンを身に付けた王の画像(8枚目画像右側)があります。
パトラは、インドネシアのグリンシン同様、縦糸・横糸を調整しながら模様が崩れないように織る非常に高い技術を要する染織です。その昔、インドのグジャラート州からインドネシアに輸出されました。古くからお茶の裂として珍重されてきた布です。
白い木綿地の芯の表側のみ(裏側は6枚目画像)に、パトラ生地が縫い付けられて仕立てられています。左右両端が縫われているだけで、パトラ自体は白い芯には接着されていません。ただ、状態があまり良くなくて、抜け落ちそうな部分も見られますので、あくまでも参考資料とお考えください。繊維にはリキが無く、他の用途には使えません。貴重な資料であり、この状態のまま持っていただけるコレクターの方の元にと願っています。
状態を各画像でご確認の上、古布にご理解のある方のみ、ご入札をお願いいたします。弱っている部分も多く、あまり小さく折り畳むと繊維に負担をかけますので、ふんわりと包んで発送します。古いパトラの性質上、発送中に弱っている部分の繊維が抜け落ちることがあるかと思いますが、その際はご容赦願います。
パトラ裂自体貴重ですが、その上、王宮で実際に使用されていた衣装が一般市場に出ることは、まず無いでしょう。長さもあり、本来ならもっと評価の高い布かと思いますが、整理のためリーズナブルに出品します。希少さがお分かりになり、大切にしてくださる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
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