・書籍名 : Stapeliads (1st edition)
・著者名 : John Pilbeam
・出版社:British Cactus & Succulent Society
・発行年:2010年
・言語:英語
・形式 : ハードカバー, 281mm x 215mm, 207ページ
1部だけ余部があるので出品します。 ほぼ新本状態となり、カバーにスレがある程度となり、非常に綺麗に保たれています(写真参照)。
<書籍説明>
本書はアフリカに広く分布する広義Stapelia(スタペリア属)及び周辺属の総説書となり、これらをまとめてStapeliadsと(スタペリアッド属群)と称しています。このスタペリアッド属群は、市場では一部が比較的良く見られますが、実は属数や種数が非常に多く、一方で、本属群は特に花が特徴的で、肉食性・腐肉食性のニクバエ類を臭いで寄せて産卵させ、幼虫(ウジ虫)に受粉させるという特殊な生態を持ちます。このためか、通常とは異なる個性的かつミステリアスな花の形態を持ちます。原種の総説書となると古いものしかなく、また地域が限られていたり、種類の抜けが多くなるため、本書が現時点において最も網羅的に本属群を押さえた決定版書籍となります。
本属群は、分類学的に混乱を極めており、少し前までガガイモ科として知られていましたが、近年発達した遺伝子解析技術による分類学研究により、現在はPachypodium(パキポディウム属)と一緒にキョウチクトウ科に分類される事がメジャーとなりました(APGⅢ)。一方で、このスタペリアッド属群は一定のまとまりがありますが、属解釈でも学説による差が大きく、著者もどの体系を元に編集するか20年も迷ったと記されています。つまり、本書は企画から20年以上を掛けて編集されて出版された苦労の多い書籍といえます。
本書はスタペリアッド属群に含まれる57属の野生種、園芸的には原種となるの栽培モノグラフとなり、686枚の株写真(野外株、栽培株)が収録されています。まだまだ研究の途上にあり、流石に全種とはいかないようですが、現在入手可能な種や亜種、変種は軒並み収録されています。また、分類学の歴史、本書で採用した学名、シノニムとなっている学名、分布、生態まで総合的に収録しており、特に写真のクオリティが高く、その量に圧倒されます。
大判ハードカバーで200ページ越えの書籍となり、大量の写真と文面による情報が詰め込まれています。特に各種の特徴は花の形態に集約される事が多いようで、開花写真がズラッと並びます。更に、各写真には野外写真の場合は産地名、栽培株写真には栽培場所の情報がフルで添えられており、更に写真提供者や栽培者の名前まで細かく記入されています。これが凄まじく多く、本属群の収集が如何に難しいかを物語っており、同時に著者のネットワークの広さと人徳を示す証左かと感じます。
著者はイギリスのサボテン・多肉植物園芸界の偉人John Pilbeam(ジョン・ピルビーム)となります。J. Pilbeamはアマチュアながら、ありとあらゆるサボテン・多肉植物を大量に栽培しており、また現地でのレポートも大量に刊行しているアマチュア多肉園芸界の鉄人とも呼べる人物です。残念ながら、昨年の6月に92歳で逝去されています。
発行は英国サボテン多肉植物協会(British Cactus & Succulent Society. 通称BCSS)となり、多くの研究者やKew王立植物園関係者のサポートを受けており、内容的にも信用に値します。特に分類学的な記述に関しては、本書で採用した分類体系や対抗諸説やシノニムの記述に至るまで、しっかりしているなと感じます。
なお、あくまで野生種メインですので、園芸品種は一切扱っておりません。とはいえ、J. Pilbeamは無類の園芸家でもありますので、野生種の栽培株写真も大量に収録され、栽培テクニックも含まれています。このため本書は、多肉植物好きの方やナーセリーさんも、手元に置いておいて損はないマスターピースと呼んで過言ではない一冊かと思います。