B&O / Bang & Olufsen 「Beogram 2000」Type5244 バング アンド オルフセン ベオグラム 2000です。
「Beogram 2000」は、デンマークの老舗オーディオメーカーであるBang & Olufsen社によって製造されたレコードプレイヤーです。同社の製品ラインナップで「Beomaster」・「BeoVox」・「Beocord」といったレシーバーアンプやスピーカーまたカセットデッキなどと共に、コンセプチュアルな音響システムとして、Jacob Jensen(ヤコブ イェンセン)によって統括デザインされた中のレコードプレイヤーのひとつで、1974年〜76年の約2年間に製産されました。
この時期に発売されたレコードプレイヤーは2機種あり、「Beogram3000」と当機の「Beogram 2000」です。共にフルオートマティックによるターンテーブルで、レコードのサイズを選択するセレクターボタンを一度押すだけで、回転数を含む全てのオートプレイを可能にする革新的なものでした。この2000は、3000のワンランク下に位置付けされたモデルで、カバーをした外観の形状はよく似ていますが、その違いとしてダストカバーについたの金属の色が3000はシルバーに対して、2000はブラックである事と、ターンテーブルのプラッターの形状が異なります。また機能として2000ではマニュアルモードを無くし、完全なオートプレイングに特化しています。 そして2000のターンテーブルには、1969年より発表されたBeogram1200シリーズの「ペグ」付きのプラッターが搭載されています。星型に整然と配置された10個の突起はレコード盤を面でなく点で受け止めるという、それまで誰も見た事のない斬新で革新的な発想でした。そしてそれはただの突飛なデザインではなく、外側と内側のペグの高さを僅かに変える事で、反って歪んだレコード盤を安定させ、音への影響を軽減させる事にも効果的でした。ヤコブ イェンセンは、このBeogram1200シリーズのプロダクトで数々のデザイン賞を受賞し、プロダクトデザイナーとして世界的に知られるようになりました。Beogram2000 ではペグプラッターのデッキに新たに考案されたダストカバーを採用しています。このカバーは60 度までのどの角度でも開けて止めることができ、簡単にスライドさせて取り外すこともできます。
このような意匠からも「Beogram2000」は1200シリーズを最も進化させ洗練された最終形態といえます。
〜当機の外観及び機能の状態について〜
《外観》
・外観は経年による小傷や擦れなどはあるものの、目立った大きな傷などもなく全体的に状態の良い個体かと思います。
・ヘアライン仕上げのアルミ製のプラッターも綺麗です。
・ウッドケースにも目立つ傷や割れはありません。
・スモークグレイのアクリルカバーも経年による擦れや小傷はあるものの、まだ艶も残っていて、また金属との接合部のヒンジ部やテンションバーもしっかりしていて、このカバーの優位点である60度に開く間のどの位置にでも止められる機能も健在です。
《動作及び機能》
・現状 動作について特に問題は見当たりません。
・機械式のオートマティックによる再生、停止、リターンも正常に機能します。
・回転数とディスクの切換えスイッチの動作も 33回転(30cm・25cm)/ 45回転 (17cm)共に正常です。
・付帯するMMC(MI)カートリッジはSP12が付いています。スタイラスは「ELLIPTCAL DIAMOND」 (楕円針)です。削ったダイアモンドの先端を更に斜めにカットし、(断面が楕円形)針先を極限まで鋭利にした事でより繊細な音が再生されます。故にSP12は当時のSP10や14(丸針)と比べて最も高価なカートリッジでした。適正針圧は1g〜1.5g と軽針圧です。
状態はダンパーのへたりもなく良好です。針先も鋭利に尖っています。(極細)
〜トーンアームによる針圧調整について〜
トーンアームによる針圧の調整は、0g〜3.5gの幅で合せる事が可能です。針圧調整は比較的容易に合わせることが出来ますが、少々独特なやり方ですので老婆心ですが念のため記しておきます。
まずアームの横に突き出た目盛りのついたツマミを回し切って”0”に合わせます。次に針先をレコード盤に位置(針が落ちる状態で)にし、アーム後方先端のダイアルを回し、アームが並行に釣り合うように“0”バランスをとります。本体の後ろから見て右(時計回り)に回せは針先が重くなり、左に回せば軽くなります。ダイアルそのものは回しても前後しないので一見空回りにも思えますが、内部の錘が回すことによって前後に移動する構造です。(構造への発想もいちいちがスタイリッシュです・・)
アームが釣り合ったところで、あとは目盛りをスタイラス規定の重さの位置に合わせるだけです。(デジタルの針圧計でも確認しましたが、ほぼ目盛りどうりですので信頼が出来ます。)
※現状のSP12は針圧が1g〜1.5gですので1.4gあたりで合わせてありますので、カートリッジを変更しない限り上の作業は必要ありません。
・ターンテーブルとトーンアームはそれぞれが独立したサスペンションによって振動の影響を受けにくい構造になっています。
・ウッドケースの仕様はチーク材とローズウッドとホワイトがあり、本品はローズウッド仕様です。
60年代〜70年代のB&O製品に多く使われている木材はがチークかローズウッド仕様が多く、購入時に選択することができました。これは北欧デンマーク家具に使われる木材の多くがチーク材かローズウッドによって作られていた為です。そのデザインは一見してシンプルでありながらも徹底した薄型で低重心で低めのキャビネットやサイドボードに置かれた際の佇まいの美しさはオーディオを当初からインテリアデザインの一部として考えていたB&O社の一貫した哲学を汲み取ることが出来ます。
〜音質について〜
音質についてはあくまでも主観的になりますが、60年代の同社のターンテーブルの音と比較するとそれほど重厚な音ではないかと思われます。大型のスピーカーの前でじっくりと腰を据えて音楽を聴くというより、例えるなら、リビングなど日常の生活空間の中に広がる上質な音とでも言いますか、ただしそれはBGMのように軽薄ではなく、軽やかさの中に上品で高密な音といった感じです。(SP12カートリッジによるところも大きいと思います)
・オリジナルの電源コンセントは117Vの米国仕様です。日本のコンセントにそのまま使えます。
・接続プラグはオリジナルの5DIN仕様です。画像にはありませんが、汎用品の5DIN→RCA変換プラグをお付けします。
以下 当機のカタログ上のスペックです。
駆動システム:アイドラーホイール+ベルト方式
サウンドシステム :ステレオ、マトリックス
回転数 :33 45 rpm
トーンアーム: ラジアル
ピックアップムーブメント: オートマティック
自動速度選択: 30/25/17
カートリッジ : SP12 (MMC)スタイラス:エリプティカル ダイアモンド(楕円針) 推奨針圧 1g〜1.5g
速度用ダイヤル ストロボスコープ: 295mm
トラッキングエラー: < 0.126° / cm
リフトシステム: 機械式
アンチスケーティング ベアリング内傾斜チャネリング
モーター: Asynchronous(非同期型)
ターンテーブル: 30cm / 1.4 kg
電源:110V/220V AC(110V側への配線に変更済み、100Vでも問題なく使用出来ます)
消費電力:10W
寸法:幅 44cm x 奥行 33cm x 高さ11.5cm(ダストカバー含)
重量:6kg
以上
なにぶん約50年前のヴィンテージオーディオですので、あまり細かい方や完璧を求められる方は入札をお控えください。ご落札後の対応や梱包及び発送は、なるべく迅速で丁寧を心がけますが、到着当初からの動作しない、音が出ないなどの不具合以外はノークレーム・ノーリターンでお願い致します。
(2025年 2月 12日 12時 34分 追加)一点お伝えするのを忘れていましたが、本品は50Hz仕様です。60Hz地域にお住いの方はプーリーの交換が必要です。その点をご留意下さい。