すべてが面白いノリントンの爽快ベートーヴェン全集!
ベートーヴェン:
交響曲全集
シュトゥットガルト放送交響楽団
サー・ロジャー・ノリントン(指揮)
癌を克服し、そのエキサイティングな芸風にさらに磨きのかかった時期のノリントンによる2度目のベートーヴェン交響曲全集は、2002年のヨーロッパ音楽祭を収録したライヴ盤。会場はシュトゥットガルトのリーダーハレ、ベートーヴェンザールで、聴衆の歓声・拍手も入っています。
EMIによってレコーディングがおこなわれた、ロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの全集(1987~1989)は、時代楽器の素の響きを生かしたプリミティヴなサウンド(特にハウズのティンパニ!)が人気を博していました。
ノリントンの解釈は基本的には新旧同じものですが、こちらのほうが総じてテンポが速くなっており、演奏の力強さ、緊迫感、流れの勢いがいっそう強まっているのがポイント。
ノリントンのベートーヴェン演奏の特徴は、まったく弛緩のない快速なテンポ設定と、攻撃的なまでのスフォルツァンド、どこまでもクリアーなパート・バランスに顕著に現れており、その時代楽器演奏のイディオムを踏襲しながらもノリントン独自のダイナミズムを盛り込んだ激しいアプローチはまさに衝撃的。
古楽器的奏法を理解し、ナチュラル・トランペットや細管トロンボーンといった楽器の選定にも意をはらったシュトゥットガルト放送響のつくりだすサウンドもクオリティが高く、第5番第3楽章のコーダ(ブリッジ部分)でのティンパニ(ケトル・ドラム)の大胆な強打など実に快適。楽器配置は第2ヴァイオリン右側の両翼型となっています。
また、ベーレンライター版では採用されなかった交響曲第5番第3楽章の例の繰り返しを前回同様おこなって、かえって新鮮な印象を与えてくれているのもポイント。ガーディナー、アーノンクール、ヒコックス、ホグウッド、ハジェットなど、ブライトコップ新版の利用者が多いことが十分に頷ける部分であり、また、それ以前にもブーレーズ盤や、ギュルケ版のスウィトナー盤などでやはり反復されていたことが思い出されるところでもあります。(HMV)
一世を風靡した古楽器によるベートーヴェンやモーツァルト演奏も、どうやら落ち着いた感じだが、その影響はやはり大きい。明快なリズムの処理によって、音楽に推進力を与え、余分な響きを抑えることで曲の構成をクッキリと浮かび上がらせる。そのような音楽性はノリントンのベースとなっている要素。古楽奏法と現代オーケストラとの融合をはかることで新しい演奏スタイルを作り上げている。初期の交響曲における躍動的な音楽の進行はすばらしいし、7番や8番の生彩あるリズムの乱舞も聴きもの。注目すべき全集だ。
分売されていた5枚のCDをセットにしたもの。これまでのベートーヴェン観を一新させた話題の演奏だ。
ノリントンがベートーヴェンの交響曲について語ったレクチャー(ドイツ語)を付録として収録。
ベートーヴェン:
交響曲全集
Disc1
● 交響曲第1番ハ長調 Op.21
● 交響曲第2番ニ長調 Op.36
Disc2
● 交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
● 交響曲第4番変ロ長調 Op.60
Disc3
● 交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
● 交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
Disc4
● 交響曲第7番イ長調 Op.92
● 交響曲第8番ヘ長調 Op.93
Disc5
● 交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
【第9番のソリスト、コーラス】
カミラ・ニールンド(ソプラノ)
イリス・フェルミリオン(アルト)
ヨナス・カウフマン(テノール)
フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(バス)
シュトゥットガルト・ゲッヒンゲン聖歌隊
シュトゥットガルト放送交響楽団
サー・ロジャー・ノリントン(指揮)
特典CD:
●ノリントンがベートーヴェンの交響曲について語ったレクチャー(ドイツ語)
録音時期:2002年8月~9月
録音場所:シュトゥットガルト、リーダーハレ、ベートーヴェンザール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
コンディション良好。
発送は、レターパック・プラスを予定しています。
土曜、日曜日は発送作業ができませんこと、ご了承ください。