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こんな家に住んできた 17人の越境者たち
稲泉連
自らの「家」について語ることは、「人生」そのものを語ることだ。 あなたはどんな家に住んできましたか——? 作家、詩人、医師、研究者、音楽家、レーシングドライバー…… 彼らはなぜあらゆる境界を乗り越え続けられるのか。 道なき曠野を切り拓いてきた17人が家の来歴を通して語る、生き方の極意。
自らの「家」について語ることは、「人生」そのものを語ることだ。
あなたはどんな家に住んできましたか――?
作家、詩人、医師、研究者、音楽家、レーシングドライバー……
彼らはなぜあらゆる境界を乗り越え続けられるのか。
道なき曠野を切り拓いてきた17人が家の来歴を通して語る、生き方の極意。
「彼らは自身を取り巻く境界や、そうあるべきとされる社会の常識を軽やかに乗り越え、ときには徒手空拳で新たな町や国に飛び出していきます。その姿の一つひとつは、どんな時代にもある生きづらさや閉塞感を突破するヒントにもなるはずです。」(まえがきより)
●水俣から
石牟礼道子(作家) 魂のひっとんだ子
●物語が生まれるとき
角野栄子(児童文学作家) 玄関を飛び出して
東山彰良(作家) いつか祖父のように
●新宿に流れ着いて
リービ英雄(作家) 日本語を書く部屋
佐々木美智子(新宿ゴールデン街バーのママ) 屋台を引いた日々
●アメリカから日本へ
マーティ・フリードマン(ミュージシャン) 輝いていたJポップ
アーサー・ビナード(詩人、エッセイスト) 日本語に導かれて
●人生の原点
ベニシア・スタンリー・スミス(ハーブ研究家) 京都の古民家
高中正義(ミュージシャン) 雀荘とバハマ
鷺巣詩郎(作編曲家) 父のスタジオで
●ヨーロッパへ
田中未知(作曲家) ここが約束の地
原田哲也(元オートバイレーサー) モナコの海の見える家
井原慶子(レーシングドライバー) セナが住んでいた部屋
●崩壊する国で
金平茂紀(キャスター) テレビの力を信じたい
中村哲(医師、ペシャワール会現地代表) 蝶を追いかけて
●科学のフロンティア
江崎玲於奈(物理学者) エジソンになりたい
利根川進(生物学者) 研究者の本来の姿
登場する方々
サディスティックミカバンド チューリップ
ビートルズ ベンチャーズ クリーム
岡林信康 三雲孝江 井深大
エリッククラプトン 民青 成毛滋 加藤和彦
フォーククルセダーズ いずみたく 寺山修司
やなせたかし カルメン・マキ 佐藤琢磨
アイルトンセナ 田中角栄 立花隆 入江徳郎
古谷綱正 田英夫 米原万里
小和田恆 筑紫哲也 萩本欽一 坂上二郎
コント55号 火野葦平 盛田昭夫 田中耕一
細川護煕 渡辺香津美 筒美京平 松本伊代
うしおそうじ 手塚治虫 庵野秀明 梶山正
マーティ・フリードマン 相川七瀬 八代亜紀
石川さゆり ジェフベック キッス 開高健
安部公房 中上健次 夏目漱石 大江健三郎
蒋介石ほか多数
レビューより
17人の方々の人生を知ることができる。誰もが激動の人生を後悔していないことが、読んでいて爽快で幸せな気分にしてくれる。意志を持った行動で越境することはものすごいパワーがいると思う。自分もこうありたいと思わせてくれる一冊。
また17の短編集のような構成になっているので、非常にテンポよく読むことができた。
願わくば、40歳くらいの普通のサラリーマンあたりを対象に同じような本を執筆していただきたいと思います。
とにかく1本目の石牟礼道子さんはすごい。『苦海浄土』の作者として、ある意味期待通りの深みのある語り口、立ち振る舞いを、文章を通じて感じられる。彼女の言葉を紡ぐ著者にも半分石牟礼さんが憑依したような、濃密なインタビューとなっている。石牟礼さんが存命なら、このテーマで一冊の本にしたものを読んでみたかった。
本書中、すごいなあ、かなわないなあと感嘆したのは、主に女性「越境者」たちだ。井原慶子さん、田中未知さん、ベニシア・スタンリー・スミスさん、それに佐々木美智子さん。とりわけ、佐々木美智子さんには、その「越境」力に惚れ惚れする。新宿ゴールデン街でバーを営む方だ。人間として他者とふかく関わるというのも、ある意味「越境」といえるだろう。自分を越えないとそれはできない。難なく軽がると「越境」しているように語られるが、その実、たいへんなものがあったであろうことは確実だ。そうして得たものは人間的な深さといったものかもしれない。