ラフマニノフ:
・交響的舞曲 Op.45
ストラヴィンスキー:
・3楽章の交響曲
ロンドン交響楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ゲルギエフがLSOを指揮して、ラフマニノフの『交響的舞曲』とストラヴィンスキーの『3楽章の交響曲』を演奏したアルバムは、
2009年5月におこなわれたコンサートの模様をライヴ収録したもので、
2008/09年のシーズンを通じてLSOが据えたプログラムのテーマ『Emigre(亡命者)』に因んで、
祖国ロシアを離れアメリカ滞在時代に作曲された点の共通する組み合わせとなっています。
【交響的舞曲】
作曲者一流の哀愁と抒情を漂わせたメロディと、リズミカルな要素とがうまくブレンドされた『交響的舞曲』は、病と望郷の念で憔悴のなか持てる精魂を振り絞って回顧するかのように『第1交響曲』や『晩祷』といった自作の引用も特徴的なラフマニノフ最後の作品。
LSOは比較的珍しいことにその長い歴史の中で『交響的舞曲』を7度しか演奏しておらず、うち4回が1973年のアメリカ・ツアーにおけるプレヴィンとの顔合わせによるものでした。また、レコーディングもLSOは過去に3度、すなわち1958年にグーセンス指揮、1974年にプレヴィン指揮、1992年にワーズワース指揮でおこなっています。
ゲルギエフとLSOによるラフマニノフといえば、やはりこれに先立って2008年9月のシーズン・オープニングを飾った『第2交響曲』が当コンビ屈指の出来栄えとして記憶されているので、その流れを受けて演奏された『交響的舞曲』にも同様のすぐれた内容が期待できそうです。
【3楽章の交響曲】
そもそも「オーケストラのための協奏曲」的な音楽として構想された『3楽章の交響曲』は、ピアノやハープが活躍する協奏曲風な響きと形式構造が際立つと同時に、ストラヴィンスキー自ら「戦争交響曲」と述べてもいるように、ドキュメンタリー・フィルムを通して得た第2次世界大戦に対する強烈なインパクトを、粗野なリズムと管弦楽の咆哮といった原始主義時代をおもわせる作風で音化しているのが特徴的。
すでにゲルギエフはマリインスキー劇場管とは、その原始的な傾向が相通じる『春の祭典』や『結婚』といったストラヴィンスキーのバレエ音楽の録音を完了しており、そこでは緻密な設計により圧倒的なサウンドを聴かせていました。
いっぽう、LSOがグーセンスの指揮で初めて『3楽章の交響曲』をレコーディングしたのは、1946年の世界初演から12年後、じつに半世紀以上前の1958年のことで、LSOが手掛けた『3楽章の交響曲』の実演での演奏回数も全部で20回以上といいますから、その頻度はむしろ高い数字といえるでしょう。
以上を踏まえると、ゲルギエフ&LSOによる初のストラヴィンスキーはいかにも刺激的な取り合わせの予感十分で、期待度もかなりのものとおもわれます。(キングインターナショナル)
・ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45 (1940)
・ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲 (1942-45)
ロンドン交響楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
録音時期:2009年5月7,8日
録音場所:ロンドン、バービカン・ホール
録音方式:DSDレコーディング(ライヴ)
プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン
エンジニア:ニール・ハッチンソン、ジョナサン・ストークス
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND