1950年代に西ドイツの大型ラジオ市場を牽引したGraetz社が、自社の高級ラジオ用に開発した21cm x 32cmという特大の楕円スピーカーユニット、Typ 5400の2本セットです。私自身が使っていた際に端子に付けたケーブルはそのままの状態で発送いたします。
■主な仕様
磁気回路:アルニコ(DEW製)
公称インピーダンス:4Ω
外形:210mm x 320mm x 135mm(奥行き)
重さ:1480g
フレーム:リブ補強付き板金製
Graetz社は19世紀に照明器具メーカーとして創業し、戦前にはラジオの製造を開始、戦後1950年代には西ドイツのテレビ・ラジオの名門ブランドとして業界を牽引していたメーカーです。出品の特大楕円ユニットは、名門ブランドの威信をかけた大型フラッグシップラジオ用に中低域ユニットとして開発されたものです。
下記のリンクは、1954/1955年頃のGraetz社の高級ラジオ、Sinfonia 3262の内部写真です。本出品とほぼ同形状のTyp 5400がIsophon系の円形フルレンジユニットと並んで取り付けられている様子が分かります。
https://www.radiomuseum.org/images/radio/graetz_altena/sinfonia_3262_2353544.jpg
これだけ大きな楕円ユニットは他社には例が少ないのですが、Isophonからは仕様的にTyp 5400と直接競合するP2132/25/9ないしP2132/25/11、及び同軸2way版であるPH2132Eなどが販売されています。また、Siemensからは例外的に同社のラジオ用としてさらに巨大な21cm x 36cmという楕円ユニットが出ています。このSiemensユニットは玉数が極端に少なく、本出品の21cm x 32cmがドイツ製楕円ユニットの事実上の最大サイズと言えるかと思います。
Typ 5400の詳細仕様は大部分が不明ですが、大きさや作りの近いIsophon P2132/25/9の仕様は下記の通りです。
・ サイズ:210mm x 320mm x 131mm
・公称:4Ω / 8W
・再生帯域:45〜9,000Hz
・fs:60Hz
2枚目の写真で見られるように、Graetz Typ 5400のコーン紙は、長辺両端のエッジ部分に切り欠きが入っています。これは、エッジ部によるコーン紙の抑制に多少の余裕を持たせることで、大きなコーン紙のピストンモーションとフィックストエッジとによって生じるコーン紙の変形を抑えるため、とされています。このような工夫はIsophon P2132には見られず、名門Graetzならではの識見が感じられるところです。
当時の大型ラジオでの採用例をみると、Graetz Typ 5400やIsopho P2132/25のような特大楕円ユニットやより一般的な18cm x 26cmの大型楕円ユニットは、高域寄りのフルレンジやツイーターなどと組み合わせて使われています。その際、高域側のツイーターにはコンデンサが入って電気的にハイパスされますが、大型の楕円ユニットの方には電気的なローパスフィルターは入らず、フルレンジスピーカーとして接続されていたようです。
Typ 5400を実際に聞いてみると、5kHzより上はかなりあやしくなってきます。同時代のツイーターであるIsophonのHM10などを4uF前後のコンデンサ経由でアドオンするのがいいと思います。HM10は別途出品させて頂いておりますので合わせてご検討ください。
このTyp 5400のような、昔のドイツのスピーカーでありがちな板金フレームのスピーカーは、板金の前面に厚手のフェルトなどが貼ってあり、バッフル板には背面から固定するのが標準的な取り付け方法です。取り付ける際に大切なのは、ネジを強く締めてバッフルにしっかり固定させようとしない、ということです。もともと板金ですので精度を追求できる構造ではないので、しっかりバッフルに固定させてしまうとフレームが逆に歪んでしまい、場合によってはボイスコイルタッチを生じさせることにも繋がります。ゴムやフェルトなどのワッシャを介してネジ止めし、ユニットを持ってずらそうとすると少しユニットが動く、という程度の緩さで取り付けるのが無難です。
写真をよくご覧いただきご検討ください。今回の出品ユニットは、コーン紙には破損や補修箇所などが一切なく、フレームの腐食もほとんど見られず、1950年代中頃のスピーカーユニットとしては大変程度がいいと思います。
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